今度だけは 仏法のために死なせてくれ・求法太子

 昔、ある国王が「太陽が出ている間に走り廻った土地を、その者に与える」
というフレを出した。
一人の百姓が早速志願した。
彼は太陽が地平線に顔を出したのを合図に出発点の丘を勇躍して飛び出した。

 太陽が沈むまでに出発点へ帰りついていなければ一日の努力が水泡になる規定である。
一歩でも遠くまで足をのばして広い土地を得ようとする欲によって、彼の力走は全く死にもの狂いであった。
その効あって、漸く厖大な土地を手に入る出発点に到着すると同時にバッタリ彼は倒れ、遂に不帰の人となってしまった。
王様は家来達に命じて、その百姓を穴を掘って埋めさせ


「この百姓にはあんなに広大な土地はいらなかったのだ。自分の体を埋める土地さえあればよかったのに」
とつぶやいたという。

 自動車にはねられて死ぬものもあれば、雷に打たれて死ぬ者もある。
水に溺れて死ぬ者もあれば火に焼けて死ぬものもいるが、所詮すべての人間は、限りなき自己の欲望の為に殺されてゆくのだ。

猛烈な求法太子の求道

 ブッダが求法太子といわれていた頃、一人の修行者に真実の法を求められた時、
「真実の妙法を聞くことは決して容易なことではない。
あなたは一体、どれ程の代償をもってこれを聞こうとせられるのか」
と修行者は尋ねた。
その時、太子は
「真実の法を得ることは至難なことはよく存知しております。
もし真実の教法を聞かせて頂くことが出来れば、妻子も財産も地位も名誉も、あなたの望まれるものは何なりと捧げましょう。
どうかおきかせ下さい」
と両手をつかれた。

 「私はごらんの通りの修行者、あなたの妻子や財産を貰っても仕様がない。
勿論、名誉や地位には用事はない。ただ、ききたいのは私の指示に順うか、どうかのあなたの決心一つだ」
と修行者が迫った時、太子は
「もちろん、あなたの仰せの通りになります」
とキッパリと答えられた。

 そこで修行者は深さ十丈の穴を掘らせ、その中に薪をつませ、それに火をつけさせた。
地獄を思わせる紅蓮の炎は火坑一面に燃え狂った。
やがて修行者は「その火坑に飛び込め」と太子に命じた。

 それまで太子と修行者の対話を不安そうに見守っていた太子の両親や妻子や群臣は驚いた。
一同、太子にとりすがり
「太子よ、お前は乱心したのか、なぜ、そのような無茶をするのか、なぜ親をそんなに苦しめるのか、やめてくれ」
両親は必死であった。

 「あなた、あなたは私や子供を可愛いと思召さんのですか。
あなたなしでは私は生きてはゆけません。どうか思い止まって!」
妻子は泣き叫ぶ。
 「太子さま、どうか国民のことも考えて下さい。
国民は太子さまに大きな期待を持っております。
どうかそのような無謀はやめて下さい」
群臣達も哀願した。

 しかし、太子の求道心は増々燃え上った。
やがて太子は両親や妻子や諸大臣に向かって厳然として叫けばれた。

 「皆さん、よく聞いてくれ、私は今日まで過去無量劫の間、幾千万の生死をくり返して来た。
しかもそのいずれの時も、欲の為に死に、怒りの為に死に、愚痴の為に命を捨てて来た。
いまだ、法の為に命を捧げたことは一度もなかった。
その為に長い間苦しみを受け続け、一日として安らかな時はなかったのだ。
しかるに今、私は真実の為に命を捨てる絶好の機会を得た。
なのにまたそのチャンスを捨てよといわれるのか。
今度こそ、真実の法の為に死なせてはくれないか」
と諭すように、哀願するように訴えられた。
かくて間もなく太子は無上覚を悟られたのであるが、過去無量劫の間、の為に死に、怒りの為に死に、愚痴の為に死んで来たのは、決して求法太子だけではない。

我々の全生命をかけていることは何だろうか。

見よ!!くだらん男の為に命を捨てる女、女の為に一生棒にふる男、金の為に財産の為に、名誉の為に殺されてゆく者、殺す者、一時の怒りの為に命を捧げるものやら意地や我慢で死ぬもの、ネタミ・ソネミ、ウラミの愚痴の為に一命を捨てる者やら日々報ずる新聞記事は、みな我々の過去無量永劫くりかえして来た姿でないものはないのだ。

この真実を知った者は、二度とつまらん迷いに命をかけることはできない。
この度こそ、未来永遠に生きぬく真実の仏法、南無阿弥陀仏に全生命をかけようではないか。

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