親鸞聖人と謎の女性との出会い

親鸞聖人が、比叡山でご修行なされていた時、
どうしても後生の一大事が解決できず、一度下山して恩師の慈鎮和尚を訪ねた帰りのことである。
「親鸞様、お待ち下さいませ」
と女性に声をかけられた。
親鸞聖人が、
「何か私に用がおありですか」
と振り向かれれると
「これからどちらへ?」
と尋ねる。
「私は山へ帰るところですが」
と答えると、
「まあそれは丁度良かった。私には深い悩みがございます。
 どうぞ私も一緒に山へお連れ下さいませ」
驚いた親鸞聖人は、
「えっ。何を申される。それは出来ませぬ」
と答える。
比叡山は女人禁制の山だから、女性を連れて行くことは誰もできない決まりになっている。
「ああ親鸞様までがそのような事を仰言いますの。悲しゅうございます。
男の方が山へ上がられますのは何故でございましょう。
苦しみのない世界を求めてさとりを開こうとなさっていられるのではありませぬか。
それでは女子には苦悩はないと言われるのでしょうか。
いえ私にはネタミ、ソネミの心渦巻き、不安で淋しく欲と怒りの煩悩に身を焼き、一時とて苦悩の安まることのない罪深き者こそ女子だと思います。
仏はそんな罪深き女子は救えぬと仰せでございますか仏様とは山上の聖僧だけを救うというそんな無慈悲なお方でございますか。
私はそうは思いませぬ。
きっときっと仏様の御本心はあらゆる人々が救われる道を説かれたに相違ないと思います。
親鸞様、伝教大師程のお方が、涅槃経を御存知なかったのでございましょうか」
親鸞聖人は驚く。
「えっ涅槃経?」
「ハイ、涅槃経の中にお釈迦様は
 『山川草木悉有仏性』と説かれているのを拝読したことがございます。
 ありとあらゆるものが悉く仏性になることが出来ると仰言っておられますわ」
親鸞聖人は言葉もない。
「それとも女人は汚れている故にお山に上がれないと仰言るのでしょうか。
 それならこのお山は既に汚れております。」

「ええっ?」
驚いている親鸞聖人になおも女性は、
「このお山にはメスの鳥や獣はいないのでございましょうか」
とたたみかける。
「それはおりましょうが」
と親鸞聖人が答えると、
「女がすべて汚れているのなら人間の女人だけが汚れているとは申せませぬ。
 故にメスの鳥や獣が住んでいるこのお山は既に汚れております。
 それなのに何故人間の女人だけが登れないのでございましょう」
との女性の問いに、親鸞聖人は返す言葉がなかった。

この不思議な女性こそ、親鸞聖人が後に結婚される玉日姫であったのだ。

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